Episode 01
Japan Qualityを下支えする、エンドミルの話。
日本の缶が開けやすいのはなぜ?
喉の渇きを癒したい時、一日の最後に安らぎたい時。缶を開けると「プシュッ」と響く音は、舌より先に私たちの耳に潤いを与えてくれます。その音が日本で最初に生まれたのは、アルミを使用したプルトップの缶ビールが登場した1965年。それまで炭酸飲料やビールは、内圧に耐えられるよう蓋にブリキが使われており、缶切りで開けるのが一般的でしたが、中身が噴き出すなどの課題も。誰もが手で簡単に開栓できるようになったことで普及が進みました。
その後も、時代とともに素材や形状を変えながらより飲みやすく、地球に優しく進化してきた日本の缶ですが、とりわけ世界で類を見ないのが「飲み口」の品質。外国製の缶を開ける際に開けにくさを感じたことがある方は少なくないと思いますが、これは缶の「密封性」と「開封性」によるもの。移動や落下時に簡単に開かない密封性と、必要な時にすぐ開けられる開封性を高次元で兼ね備えている日本の缶は、無駄な力をかけずに開栓できるのです。
丈夫なのに開けやすい。そんな相反する性能は、プルトップの切れ口の厚さなどを精密に加工する技術があってこそ可能に。缶の飲み口となる金型を生み出すために、日進工具のエンドミルが選ばれています。
暮らしに欠かせない日本製品とともに。
世界でも厳しい目を持つと言われる、日本の消費者。エンドミルは缶にとどまらず、その暮らしの至るところに貢献しています。たとえば、赤ちゃんのお尻を「ピタッ」とつつむオムツ。ダイカットロールと呼ばれるロール状の金型を使用してオムツを裁断する機械の精度向上にも、私たちの工具が役立っています。
身の回りに耳を澄ますと、あなたも聞こえてきませんか?「シューッ」と開閉するファスナー。「サラッ」と書けるボールペン。「カチッ」と開栓するペットボトル…五感に響く様々な擬音が生まれる場所。それは、私たちのエンドミルが活躍する舞台でもあるのです。