Episode 05
クリエイターの相棒となるエンドミルの話。
目ヂカラを増した自動車のヘッドライト。
かつては丸型や角型がほとんどだった自動車のヘッドライト。近年、そのデザインがずいぶんとバラエティ豊かになったと思いませんか?たとえば、切れ長なレンズの周囲に、まつ毛のように縁取られたラインが光彩を放つセダン。あるいは、フロントフェンダーに沿ってライトが縦に大胆に切れ込んだスポーツカー。中には「どこが光るの?」と思うほど、ライト自体を極限まで小型化してボディと一体化させたクルマも。思わず目が釘付けになるフロントフェィス。自動車メーカーは自社のアイデンティティを表現し、さらに先進性をアピールするために、競ってヘッドライトのデザインの差別化に力を注いでいるのです。
ヘッドライトの第一の役割は夜間に前方を照らし、自車の存在を他の車両や歩行者に知らせること。LEDは「明るさ」という基本性能を向上させ、同時に自由なデザインを実現しました。LEDは必要な光束を得るための光源面積が小さく、光を「導光体」とよばれるライトガイドの端面に入射し、反射・拡散させて配光します。この導光体をユニークなカタチにすることでライトの斬新な意匠設計が可能になるのです。
クリエイターの情熱を具現化するパートナーとして。
デザイナーがアルファベットの「A」をモチーフにしたライトを発想したとしましょう。この形状でLEDをムラなく発光させるには、導光体の金型に切削用工具エンドミルでドットやV状の微細溝パターンを精確に刻む必要があります。ところが、こうした特殊な金型の製作は加工面積が大きく、一本のエンドミルでは加工しきれなかったため、数個の金型をつくり、繋ぎ合わせる手法が取られていました。結果、各所に継ぎ目が入るなど、デザイナーの当初のアイデアと最終製品の間に乖離が生じていたのです。日進工具は試行錯誤を繰り返し、独自の技術力でエンドミルの耐久性と切削精度を飛躍的に向上させ、複雑な形状の金型製造を可能にしました。
私たちの工具は自動車分野にとどまらず、様々なジャンルでクリエイターの創造を具現化する相棒として選ばれています。美しい表面仕上げによって、オブジェとしても存在感を放つ香水のビンや口紅のケースなどがその一例。「まだ見ぬアイデアをカタチにしたい」「機能と美の融合で人々の暮らしをより良くしたい」─── クリエイターの創造への情熱を、ディティールへの際限なきこだわりを、妥協なく叶えていくために。日進工具はエンドミルの先端に磨きをかけ続けていきます。